第1章

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職員室で相沢君が事情を話して、私も全く気にしていないので大丈夫ですと言うと先生は20分程注意をして帰された。 注意の内容は、黒板消しで遊ぶなという話しが2分、そして後の18分は相沢君の最近の素行の悪さについてだった。 職員室から出ると、相沢君がまた溜め息をついて「殆ど今回と関係ない話しじゃん。しかも俺悪くないし」 「災難でしたね。」と私が言うと、相沢君はこっちを見て、「一番災難なのは、あんたじゃん。ごめんね。」そういって頭に残った粉をまたはたいてくれた。 「優斗ー。何してんのー?」 と笑顔で近づいて来たのはめちゃめちゃ可愛い女の子。 「職員室でお説教。」 「また呼び出しくらったんだ?」 「今回はちげーよ。結局いつものお説教もされたけど」 相沢君は女の子に事情を話している。 女の子は茶髪で目はぱっちり。それでいてスカートも短めで、学校指定の制服にはスカルのバッジを襟元につけていた。 実は相沢君もスカルのキーホルダーを財布につけている。ポケットに入っている財布からスカルのキーホルダーがぶら下がっていた。 つき合ってるのかな・・・ そんなことを考えていると、相沢君は話しを急に止めて私の頭に手を置き、 「で、何も悪くないこいつも巻き込んじまったってわけ」 「大変だったんだね、えっと、名前何て言うんだっけ」 「中西です」 「下はー?」 下? 「中西何ていうの?」 え、あ下の名前か!普段名前で呼ばれないので一瞬わからなかった。 「唯花です」 「え、かわいー」 「可愛くないです!」 「かわいいじゃん!私は矢倉 由真!宜しくね。唯花ちゃん。」 下の名前を身内以外に呼んでもらうのは一体何年ぶりだろうか。 すると、「由真、ぐいぐい行き過ぎ。困ってんじゃん。」と相沢君が言った。 「嬉しいですよ!」 「ほらー、嬉しいっていってるじゃん。」 私今まで一番学校で話してる。しかもこんな世界の違う人たちと。
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