第1章

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隣のクラスのドアの前で深呼吸をした。 さっき来たときとは全然違う緊張感。 ドキドキと心臓の鼓動が聞こえた。 中から男子の笑い声が聞こえて来た。 私の後ろを通過した女子のグループも笑っている。 もしかして私のことで笑われている。 やっぱり引き返そうかな。いやでも・・・。 ここで引き返したら私本当に友達一人もできないかも。 そうだよ。まず最初の一歩を!でもやっぱり・・・。 「何してるの?」 「あ・・・」 話しかけてきたのは同じクラスの保科君。 「えっと・・・」 「もしかしてこのクラスに用事?俺も一緒に入ろっか?」 優しい・・・。今まで一言も会話したことなかったのに。 「大丈夫だよ。ありがとう!」 「そっ?てか俺もこのクラスに用事あるんだったー」 そう言ってガラッとドアを開いた。 あ・・・。心の準備が。 ドアを開けると女の子の集団がドア前を塞ぐようにして立ち話していた。 「ごめんねー。ちょっと通らせてー」 そう保科君が言うと、女の子たちは横によけてくれた。 そしてクラスの景色が広がった。 窓側の一番後ろの席。こっちを振り返った相沢君と目があった。心臓がさらにドクンと鳴った。
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