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三〇〇〇年、一月。年の始まりと同時に世界は終わりを迎え入れた。
全ての原因は、“Muderウイルス”と呼ばれる細菌ガスである。それは、人を殺す有毒ガスではない。ある特定の、十歳以上の女性のみに感染するウイルスだ。感染した者は、十歳の少女に姿・形が戻り、成長せず、病気にもならない。しかし、ただ、それだけでは世界が終わるには至らなかった。
末期症状、ほんの数ヶ月で彼女達は、ある異変を起こした。第一段階、幼稚化、第二段階、記憶の喪失。そして、第三段階、殺人衝動。しかし、殺人衝動といっても無差別に人を殺す訳ではない。“男”に限り、ウイルスにより強化されたあらゆる能力を持って殺し始めたのだ。
我々、日本国防総省は彼女達を元に戻す方法が見つからないまま、成す術なく、地下シェルターへと逃げ込んだ。
あれから十年が経とうとしている。しかし、まだ元に戻せる方法は見つかっていない。ただ一つ分かった事は、細菌ガスの発生地点である。場所は、日本、大阪。
「――直ちに急行せよ。こちら、日本北部第一シェルター防衛省本部――応答を願う――」
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