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いわゆる、これが昔話『桃太郎』の冒頭部分だ。
日本で生まれて、日本で育ったなら、知らない人はいないほど有名な物語である。
あたしは、手に持っていた桃太郎の絵本を閉じると、大きな溜息をついて、机の上に広げられた沢山の脚本に目を配らせた。
ここは、私立桜ヶ丘高校演劇部の部室だ。
机の周りを部員のみんなで囲って、それぞれが脚本を手に取り、真剣に意見を交換し合っている。
今、あたしたち演劇部は重大な局面に差し掛かっている。
それは、一年に一度の各高校で争う演劇部の大会が一カ月後に控えているからだ。
大会の内容は、予め主催者側から発表されたお題に沿って、それぞれの高校が脚本を作り上げる事になっている。
作り上げた脚本は主催者側に提出する事が決まっていて、大会の本番に、実際にそれぞれの高校が提出した脚本通りに演じるわけだ。
今回の大会のお題は『桃太郎』
昔話『桃太郎』の話を元に、リメイク版を作りあげる事になっている。
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