16人が本棚に入れています
本棚に追加
「気に入ってるから…無くさないでね。」
「ああ。」
ジェイが私の頭をくしゃりと撫でる。
大きなジェイの手に撫でられ上目遣いでジェイを見つめる。
「暫くって…どの位?」
「早ければ明日、遅ければ何日か…。寂しいか?」
困らせたくないけど…俯いて頷く。
「梨緒…」
顎を捉えて上を向かされる。
ジェイの唇が優しく頬に触れ、そして唇に触れた。
「愛してる、梨緒。」
優しい眼差しにキュンキュンして心がはしゃぐ。
「私も…。愛してる。」
恥ずかしくて目を逸らしてしまう。
その視界の中でサイファと目が合う。
サイファは私をじっと見つめていて…一層恥ずかしさが増した。
「じゃあ、行って来るからな。」
そう言ってジェイは頭をポンと撫でると一瞬で目の前から消えてしまった。
「行っちゃった…。」
ふぅとため息をつくとサイファが本を片手に私の隣に座る。
「寂しいですか?」
私の隣でまた本を開くサイファ。
首を横に振って立ち上がった。
「バイト、行かなきゃ…。」
「梨緒…雨が降りそうですから傘を持って行きなさい。」
「わかった、ありがとうサイファ。」
髪の毛を一本に結い、バイト用の小さ目のバッグを持ち玄関に向かう。
「梨緒、雨が降ったら駅まで迎えに行きます。風邪をひかせたら大変ですから。」
「大丈夫だよ、じゃ行ってきます。」
サイファの優しい微笑みを確認してバイト先に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!