花時雨

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あの日の自分に戻って、初恋をやり直せるんだと、本気で信じたわけじゃないー。 それでも溺れてしまうのは、こうなる事が最初から私たちふたりの運命だったんだと、そう信じてみたかったからー。 彼にとって、例えこれが一時の気の迷いでもー。 私にとっては、奇跡と同じ現実だからー。 ーふたりを濡らす冷たい雨は、咲き始めたばかりの桜を早々に散らしながら、一晩中にわたり春先の乾いた空気を潤し続けた。
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