花時雨

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ふと横を向けば、窓の外に見えるのは雲ひとつない晴天と、ちらほらと咲き始めている桜並木。 桜が満開になれば、こんな絶好のお花見席は他にないと思えるくらいの近さに、軽く圧倒される。 「ねぇ、」 「?!」 満開になったら窓開けたまま仕事してもいいかな、と、出社初日にも関わらず悠長にそんな事をぼんやり考えていた私に、背後から小声で呼び掛けられて慌てて振り向く。 「もしかして、糸真じゃない?」 いきなりサボってるのがバレて、怒られるのかと思いきや…、 振り向いた先にいた彼女を見て、ようやく気付いた私ー。 「ま…麻鈴ちゃん…?」
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