10年前

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よく考えたら余計なお世話だったかもしれない。 でも、既に聞いちゃったものは仕方ない。 返事が返ってくるかどうか、迷った挙句そっと彼の方へ顔を向けた。 「いや、ない。そっちは?」 チラッと視線だけをよこして、受け答えだけじゃなくまさかの質問が飛んでくる。 「あ、…持ってる…。折りたたみだけど…。」 なんだ…。 結構普通に話せるんじゃん…。 じゃあ、今までのあの冷たい態度はなんだったんだろう…? そこそこ会話はしたものの、それ以上話しは進まないし膨らまなくて、結局そのまままたふたりの間を沈黙が流れた。 当番の締めも終わり、図書室に鍵をかけて職員室へ向かう。 私が返しとくね、と預かった鍵。 職員室で所定の場所に鍵を掛けて戻し、失礼しました、と挨拶をして廊下に出る。 雨の日は、大会の近くない時は大概部活は休みになるから、そのままどこにも寄らずに正面玄関へと向かう。 下駄箱を締めて、靴を履き替えて。 くるりと振り向けば、ずっと私の後をついてきた彼と目が合う。
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