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よく考えたら余計なお世話だったかもしれない。
でも、既に聞いちゃったものは仕方ない。
返事が返ってくるかどうか、迷った挙句そっと彼の方へ顔を向けた。
「いや、ない。そっちは?」
チラッと視線だけをよこして、受け答えだけじゃなくまさかの質問が飛んでくる。
「あ、…持ってる…。折りたたみだけど…。」
なんだ…。
結構普通に話せるんじゃん…。
じゃあ、今までのあの冷たい態度はなんだったんだろう…?
そこそこ会話はしたものの、それ以上話しは進まないし膨らまなくて、結局そのまままたふたりの間を沈黙が流れた。
当番の締めも終わり、図書室に鍵をかけて職員室へ向かう。
私が返しとくね、と預かった鍵。
職員室で所定の場所に鍵を掛けて戻し、失礼しました、と挨拶をして廊下に出る。
雨の日は、大会の近くない時は大概部活は休みになるから、そのままどこにも寄らずに正面玄関へと向かう。
下駄箱を締めて、靴を履き替えて。
くるりと振り向けば、ずっと私の後をついてきた彼と目が合う。
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