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上の階に続く階段の踊り場にようやく出た時、下の階から叫び声が聞こえてきた。
「シャッターが!」
1階に向かう階段はすでに誰かが非常用のシャッターを閉めていた。
向こう側から恐らく1年の生徒がシャッターをバンバンと叩いているようだった。
「開けてくれ!まだこっちには沢山人がいるんだよ!!!」
「嫌ぁっ!開けてよ!死にたくない!!」
「助けてぇ!助けてよぅー!!!」
シャッターの向こう側から悲痛な声が聞こえてくる。
上の階に逃げる生徒達は皆その声が聞こえているはずなのに誰も振り返ろうとしない。
「、、、あ、、。」
私はひどい罪悪感を感じてシャッターの方に近付こうとした。
「芽、、芽衣、、。」
菜奈が俯いたまま、私の手を更にぎゅっと握り首を横に振った。
目には涙が滲んでいて、手は震えている。
「菜奈、、、。」
私はシャッターに近付こうとした足を戻し、菜奈の手を引っ張り上の階に向かった。
「ごめんなさい、、。」
小さい声で呟いた。
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