28人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
自分がまるで恐ろしい存在になったようで。
足から黒い何かが身体に入ってくるように感じた。
滲んでくる涙を堪えた。
3階に上がると、2階階段のシャッターも閉められたようだった。
あれが校舎内にいる。
もう人形なんて言えない、、。
あれがゴブリンなんだ、、、。
3階には逃げてきた生徒達で溢れかえっていた。廊下や教室の中で動かなくなった携帯を何度も確認する子。
泣きじゃくり座りこむ子。
少しでも状況を見ようと窓から外を見ている子。
「芽衣、、どうしよう、、?」
「うん、、。」
シャッターが破られないかな、、。
防火扉は分厚いし簡単には壊せないだろう、、、。
「、、菜奈、屋上行こう。」
「屋上?」
「うん、、家の方角、、見たい、、。」
菜奈は黙って頷いた。
手を繋いだまま、廊下に座り混んだ子達や騒いでいる子達の間を通り屋上へ向かった。
屋上への扉を見て少し怖くなったが、ドアノブがまわった事に少し安心した。
屋上へ出ると目の前に青空が広がった。少し冷たい風が髪を撫でる。
屋上にも沢山の生徒が逃げてきていた。皆屋上フェンスから街を見渡している。
「菜奈、、、。」
「芽衣、、、、。」
最初のコメントを投稿しよう!