救出

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「、、、芽衣、、芽衣、、。」 芽衣が屋上にまだいる頃。 トイレ一番奥の個室に菜奈はいた。ガタガタと震えながらうずくまり少しでも荒くなる呼吸を落ち着かせようとした。 トイレにいた女子生徒は菜奈をいれて4人だった。 男子生徒の叫び声が聞こえた時、菜奈以外の3人は慌てて外に出て行った。 菜奈もそれを追って出て行こうとしたが、廊下で先に出て行った3人がゴブリンと鉢合わせをして1番近くの教室に逃げ込んだのを見て、恐ろしくなった。 ゴブリンは3人のいる教室のドアをガリガリと長い爪でかじっている。 教室のドアなんてシャッターや防火扉に比べたら紙のようなもの。 破られるのも時間の問題だろう。 逃げたいけれど屋上に行くにはそのゴブリンを通り過ぎなければならない。 気づかれずに通り過ぎるなんて不可能だ。 そんな事を考えている間にゴブリンは扉を壊し、教室内へ入った。 教室内にいた3人の女子生徒の叫びが廊下に響いたがすぐに聞こえなくなった。 見に行くことも出来ず、その場から逃げることも出来ず、菜奈はトイレの個室に鍵をかけてこもったまま、ガタガタと震えていた。
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