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「芽、、、芽衣、、、。」
涙を流して床に倒れている菜奈。
その身体に覆いかぶさり嬉しそうに腰を振っているゴブリン。
足の先から頭の先までまるで真っ赤になったような怒りを感じた。
「菜奈から!!離れろおおっ!!!!」
モップを振り上げ、一気にゴブリンに振り下ろした。
モップの金具部分がメキャッと音を立てて歪んだ。
ゴブリンは衝撃に反応してガバっと菜奈から離れ、後ろに飛び下がった。
その隙を見て菜奈はすぐに立ち上がり私の後ろに走る。
「芽衣、、!芽衣、、、!来てくれた、、!芽衣!」
私の背中にしがみついて泣きじゃくる菜奈。
私はゴブリンから目を逸らさず、モップを構えたまま動けなかった。
「、、遅くなってごめんね菜奈、、。」
菜奈の太ももにはあそこから流れた血がつたってきていた。
涙が溢れた。
「助けられなくてごめんね、菜奈。、、勝てる気もしないの、、。菜奈は屋上に逃げて。」
菜奈は私の背中にしがみついたまま、動こうとしなかった。
「、、嫌だ。芽衣といる。芽衣が逃げないなら、私も逃げない。」
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