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「、、芽衣はちっとも悪くないんだから。助けに来てくれた事で私生きてるよ。大丈夫、処女なんていつかは必ず失くすもんだし。」
私の涙をはらいながら、話す菜奈の目からは大粒の涙がこぼれ落ちていた。泣きながらも私に微笑んでくれていた。
「、、菜奈、、。」
ゴホッ
気まずそうに澤木が咳をして、私たちの方を見る。
「とりあえず屋上に戻ろう。もう朝になるだろ。」
「あ、本当だ。」
そう言われて窓から外をみれば暗かった空が徐々に白んできていた。
菜奈は涙を制服の袖で拭き、泣き顔を澤木に見せないように窓に近付いて大きく息を吸っている。
「うん。そうだね。」
私は頷き、澤木の方に身体を向け歩き出した。
「菜奈、行くよ。」
「菜奈?」
「愛瀬!」
澤木が私の横で大声で叫んだ。
振り返る。
窓の外にさっきのゴブリン。
そいつが
菜奈の首に噛み付いていた。
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