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まるでそこからはスローモーションに感じた。
菜奈の元へ走り出す私と澤木。
菜奈から真っ赤な血が吹き出している。
叫ぶ私の声は私の耳に届かない。
まるでサイレント映画のように音が聞こえない。
菜奈がゴブリンを力いっぱい抱きしめるように自分の身体に押し付けたように見えた。
より食い込む牙、爪。
飛び散り赤い 菜奈の血。
「、、芽衣、、ありがとう、大好き、、澤木君、、お願い、、芽衣を守って、、、。」
その声が耳に届いた瞬間、菜奈はゴブリンにしがみついたまま、思いっきり壊れた窓に自分から飛び込んだ。
走り寄る私と澤木の手は3階から落下する菜奈の身体を掴むことが出来ず空を切った。
「ーーっ!」
「菜奈ーーっ!!!!!」
ドンッ!
と鈍い音が聴こえた。
見下ろしたはるか下にはゴブリンと一緒に落下した菜奈。
血まみれになった制服に、首や足が曲がっているように見えた。
「嫌ああぁあっ!!菜奈ーっ!!」
慌てて身を乗り出すも、私の身体を澤木が掴んで引っ張った。
「お前も落ちる気か!!やめろ!!」
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