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「行くぞ。」
澤木は私の腕を引っ張り、立ち上がらせようとする。
「、、、、。」
私の足は全く力が入らずその場にペタンと座り込んでしまった。
はぁ、、と小さく溜息をついた澤木は私の身体に手をかけ、グイッと持ち上げた。
いわゆるお姫様抱っこだ。
「、、っ!いいよ!歩く!」
涙が止まらないまま私はおりようとするが澤木の力でビクともしない。
「いーって!もうこの方が早い。」
そう言うと、自分の胸に私の頭を押し付け大人しくしてろとばかりポンポンと叩いた。
「、、、ふっ、、うっ、。」
涙が止まらないまま、嗚咽に変わった。
私は澤木の胸で泣きじゃくりながら屋上まで運ばれた。
屋上の扉に着くと、澤木は扉を3回叩いた。
すぐに向こう側から声が返ってくる。
「誰だ?」
「2年の澤木。あと高月。」
澤木がそう答えると扉が恐る恐る開いて中から不安そうに男子生徒達が私達を除きこんだ。
素早く視線を階段通路に泳がせ私達以外何もいないのを確認すると素早く扉の中に入れ、そしてまた鍵をかけた。
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