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私は澤木に向けて頭を下げた。
「ごめん、澤木。私も澤木と2人でさっさと逃げたい。他の奴等なんてどうでもいい、って思う。思ってた。」
声が少し震えた。
「、、でも菜奈みたいな子を増やしたくない。見たくないの、、。」
澤木は私の言葉を聞いて黙っている。
「私1人じゃ何も出来ないし、何にもならないのもわかってる。自分に出来ない事を澤木に頼むのも嫌だ、、。だからせめて非常階段の事を皆に話すことだけはいいかな?」
ある意味残酷かもしれない。
話すだけ話してあとは個々のご自由にっていう事だ。
「さ、澤木が嫌なら私を連れてってくれなくても良いから。」
澤木はしばらく黙っていたが、諦めたようにため息をついた。
あ、呆れられたかな、、。
ポンっと頭に手を置かれ、私は顔を上げた。
澤木はしょうがないというような笑い顔だった。
「行くぞ。」
それだけ言うと屋上に向かう階段をまた登り始めた。鍵をプラプラさせて。
その意味が分かると私は胸が熱くなり自然に笑ってしまった。
「澤木!ありがとう!」
私は澤木の後ろから小走りで屋上へと向かった。
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