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澤木に引っ張られながら私は戸惑いながらも目線を前に戻し走り続けた。
私達より早く走る生徒達はどんどんと前に進んで行く。
非常階段の方からは更に次々と生徒が飛び出してくる。
裏門に向かって走る子。
自転車を取りにいく子。
学校を囲むフェンスを登り、外に出ようとする子。
皆が必死に逃げている。
「きゃあああああ!!」
「うわぁぁぁあぁ!!!」
遠くから悲鳴が聞こえた。
きっとゴブリン達が気づいて向かって来たんだ!
「こっちだ!」
「うん!」
悲鳴に反応して澤木と私は走るスピードを限界まであげた。
息が苦しい。
自転車、バイク置き場が見えてきた。先に着いたであろう数人の他の生徒達が乗れる自転車やバイクが無いか探していた。
鍵の付けっ放しの自転車を見つけると早々と逃げ出す。
中には自転車の取り合いになっている子達もいた。
「高月、こっち!」
澤木はそう言うとバイク置き場の更に裏に回りバイクを出してきた。
「何で裏に?」
「停学やらなんやらでバイク禁止されてんだ。」
さらりと言う澤木は私にメットを手渡しバイクに鍵を突っ込んだ。
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