はじまり

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目玉焼きの半熟加減が絶妙。 お母さんのご飯は美味しい。 口では言わないけどお父さんがお母さんのご飯を残してるのは見たことない。 「ニュースと新聞に出てるけど、最近T県の方で通り魔が多発してるらしい。芽衣もお母さんも気をつけなさい。」 眼鏡をくいっと手で押さえながらお父さんが言うと、ちょうどニュースでその事件が流れていた。 「あら嫌だ。怖いわねー。」 「T県でしょ?遠いし、大丈夫でしょ。」 「用心するに越したことないだろう。」 私達は日本の大都会T県とは離れているS県に住んでいる。 田舎じゃないけど都会とも言えない。海もあるけど山もある。 そんな所だ。 「帰りが遅いお父さんの方が心配じゃん?気をつけてね?」 「お父さんは大丈夫だ。」 何を根拠に言うのだろうか? まぁ、私もお父さんなら何と無く大丈夫だと思ってしまうから不思議だ。 世間から見れば普通の中小企業のサラリーマン。 家では私を注意することが多いけど、しっかりと見てくれてるし、他人の悪口や会社での愚痴も言わない。 そうゆう所かなり尊敬してる。
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