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「いいの?」
「ただ高月の家の前とかにゴブリンがいたら悪いけど引き返す。」
「うん!充分だよ。お願い澤木。」
「了解。H町だよな、裏道から行こう。」
澤木はそういうと細い道に入り、私の家に向かってくれた。
私は両手を拝むように握りしめ、心の中でお父さんとお母さんの無事を強く願った。
「そこを右に回って!すぐの家だから!」
家が見えた。近くにゴブリンはいなかったが遠くに道に緑色の動く物が見えた。
「、、あれがこっちにきたら危ないな。」
澤木が遠くのゴブリンを睨みながらゆっくりと車を動かす。
澤木は家の前に車をつけて、少しでも外にいる時間を短くしようとしてくれた。
「俺は車に残るから確認だけ早くしてこい、親いたら連れてこい。」
「分かった!すぐ戻るね!」
私は静かに車のドアを開けて小走りで家の玄関に向かった。
ドアに手をかけるが、、、
開かない。
「嘘でしょ?!」
私の持ってる家鍵は学校の教室にあるカバンの中。
チャイムを鳴らしてみるが一向に中から人の気配がしない。
私は咄嗟に自分の生徒手帳を出し、手帳に挟んであったミニペンで中に伝言を書き込んだ。
お母さん、お父さんへ
芽衣は無事です。
同じクラスの澤木君と一緒。
澤木君の家にとりあえず避難します。もし家に戻ったらここに返事をお願い。
芽衣
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