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私はその生徒手帳を家のポストに入れた。ポストの外に目印になるように制服のリボンを巻きつけ、車に戻った。
「家には誰もいない。澤木、ありがとう、行こう。」
「、、、ああ。」
澤木はバックで方向を変えて道を引き返す。
私は横で溢れる涙を止められないでいた。
お父さん、お母さん、無事なの?
どこにいるの?
お願い、生きてて、、。
家に着きさえすれば何かが変わると心のどこかで思っていた事に気づく。
あのドアがさっきもし開いたら、何にはお母さんドアお父さんがいて、もう大丈夫だ。って言ってくれるとばかり思っていた。
「、、ふ、、、う、、ぐす、、。」
こらえようとした嗚咽が漏れる。
止めようとしても涙は勝手に溢れてきた。
ポンっ。
「ん。」
澤木が私の頭に手を置いて助手席の前にあるテイッシュを顎で指した。
「、、、、。」
私は無言でテイッシュを取ると涙と鼻水を拭いた。
「、、、、澤木の家族は、、、?」
「俺、親父いるけどほとんど顔見ねえし、1人みたいなもんだから。」
私に質問されると澤木は前を向いたまま答えた。
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