Transfiguration

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サイファの治癒の魔法でお腹の痛みは和らいだけど、生理だとどうしてこんなに眠いんだろう。 あれ? …私、何か忘れているような気がする…。 なんだろう…。 誰かとケンカしたような…気まずい感情が中途半端にぶら下がる。 変なの…。 「なんか聴こう…」 イヤフォンを耳に挿す。 こんな歌…いつ入れたっけ? 曲名とアーティストの名前を確認した。 『ヒロイン』 『春井龍司』 春井龍司? いつ入れたんだろう? 全然記憶にない…。 あ、コンサート観に行く時に入れたのか…。 じっくり聴いた記憶が無くて新鮮な気がした。 この人が…私の父親…。 良く聴くと、この人の作る詞の世界感に驚く。 天使、悪魔、死、愛…。 まるでその世界を知ってるかのような…歌を歌っている。 まさか春井龍司も天使や悪魔に会った事あるのかな。 会いたい…、会ってみたい。 狂おしいくらい切ない愛を歌う春井龍司、一体どんな人なんだろう…。 「会ってみたい?」 ハッとして起き上がる。 見知らぬ男が立っている。 「だ、誰?」 「君は堕天使を二人も雇ってるの?」 そんな事言うなんて普通じゃない…って事は、この人も同じような人? 「ふぅーん、君が梨緒ちゃん。」 「あの…誰なんですか?」 「ん?名前聞いてんの?」 「…っ…えっと…」 「ジェイの友達の堕天使ベルフェゴール。名前…教えてもいいけど…、俺と契約する?」 「しません!」 「ふふっ、ハッキリ言うね。まーいいや。じゃあ、その人間に会わせてあげたら契約するっていうのはどう?」 銀髪で銀色の瞳。 少しジェイと雰囲気が似てる気がする。 「…なんなんですか?本当にジェイの友達なんですか?」
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