14人が本棚に入れています
本棚に追加
眠る私の頭を誰かが優しく撫でている。
「ん…」
カーテンから漏れる日差しに朝だと感じた。
「サイファ…なんか怠い…。疲れが取れないよぉ。」
口元に笑みを浮かべてゆっくり私を抱き起こす。
「もう9時ですよ、梨緒。」
「ジェイ…まだ帰ってないの?」
「ええ。」
いつ帰って来るんだろう…。
「もしかして…ジェイ…もう帰って来ないなんて事…ないよね?」
「梨緒…大丈夫です。貴女が愛した男なら、そんな事しませんよ。」
「サイファは優しいね。ジェイなら絶対そんな事言わない。」
つい笑ってしまう。
「なんか…お腹痛い…。」
「大丈夫ですか?どんな痛みですか?」
「ん…重い感じ、鈍い痛みっていうか…!そっか!!」
トイレに走る。
「やっぱり…」
生理だった。
いつもより少し早い気がする…。
ジェイと毎日毎日してたから、身体がビックリしたのかな。
サイファが心配そうな顔で私を見ている。
「梨緒?大丈夫ですか?」
「うん、生理だった。」
「そうですか…。バイトには行けそうですか?」
「薬飲んで行けば大丈夫。」
「梨緒、それなら私が治癒の魔法で痛みを忘れさせてあげましょう。薬も身体に害の無い物を作ります。おいで、梨緒。」
「ありがとうサイファ。」
サイファの手がお腹に当てられ、じんわりと温かくなる。
「どうですか?痛みは。」
「うん、大丈夫。でも私もう少し横になってるね。」
寝室に戻り、ベッドに横たわる。
「梨緒、薬の材料を集めて来るので…少しの間一人で大丈夫ですか?」
「うん、平気。」
サイファが私の頭を優しく撫でると風のように姿を消した。
最初のコメントを投稿しよう!