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意地悪そうな笑みを浮かべ、その人はベッドの端に腰掛けた。
「ジェイと友達かって?そうだね、友達というより…ライバルかもね。」
「ジェイが今どこにいるか知ってるの?」
「ああ。魔界にいる。」
「えっ?…どうして?」
「探し物をしていてね、それと引き換えに誰かに贈る指輪を作るんだってさ。」
指輪…。
それ…私に?
ジェイが出かける前に言っていた言葉を思い出す。
『今度はちゃんとしたのを…贈る。』
ジェイ…。
嬉しくて口元が緩む。
「梨緒ちゃん、こっち向いて。」
突然伸びてきた男の指が頬に触れた。
「ちょっと!何するんですか?」
驚いて手を払う。
「何するって…」
微笑みながら男が私をベッドに押し倒す。
「君は本当に母様に似てる。」
「えっ?」
「このまま…君をジェイから奪いたくなる。」
「っ!?」
男がゆっくり私の顔に顔を寄せてくる。
「梨緒を離しなさい!」
サイファの声に男の動きが止まった。
そしてゆっくり私から離れるとサイファと向き合う。
「ベルフェゴール…カインの息子か…。」
「君もあの記憶見たの?」
「なんの用です。」
サイファと銀髪の男の間に火花が散っているように感じた。
「君を殺したら、邪魔者はジェイだけか。ふふっ、余裕だな。」
銀髪の男が言っている言葉に恐怖を感じ、サイファを庇うように前に出る。
「サイファに何する気?帰って!貴方なんてジェイの友達じゃない…!!」
「梨緒、危険です。どきなさい。」
「梨緒ちゃん、君を殺して魂を奪う。そしたら君は永遠に俺の女になれる。悪い話じゃないでしょ。」
恐ろしい言葉に身がすくむ。
サイファが私の前に出る。
「梨緒の魂を奪いに来たのか?…なぜ梨緒なんだ!!」
「俺の愛しい母様に似てるし、気に入ったからだ。」
その冷たい微笑みにゾッとしてサイファの白いシャツをぎゅっと握りしめた。
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