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「いいえ、サイファさん。貴方もカインさんとキョウカさんの魂の事…知っているのですね。」
サイファが頷く。
「誰なの?カインとキョウカって…」
「梨緒さん、貴女には話さなければいけないようですね。」
それからマルコシアスさんがカインとキョウカの話をしてくれた。
そして二人の魂を探していて私とジェイに出会ったと言った。
「ですが…梨緒さんもジェイさんも二人の魂ではなかったのです。」
「えっ?じゃあ…私とジェイは運命の二人じゃないって事?」
「ええ、残念ながら。」
「じゃあなぜ梨緒の魂は悪魔と関わる宿命なのですか?」
サイファが私の手をぎゅっと握る。
「それは…キョウカさんが梨緒さんの父親の魂を守ったからです。私もその戦いには微力ながら参戦しました。悪魔と関わりを持った父親の初めての子供の貴女に影響が出たのでしょう。その魂にジェイさんも惹かれ、そして運命のように私やサイファさんも引き寄せられた。サイファさんは天使でしたが…悪魔が引き寄せられる魂を守る宿命だったのでしょう。」
「そんな…。」
想像を飛び越えた話、それが自分の事なんだと思うと身体が震えてしまう。
「マルコシアスさんは…私の父に会った事があるの?」
「いえ、直接はありません…。」
やっぱり春井龍司は悪魔を知っていたんだ。
そして、私は春井龍司の初めての子供…。
カインとキョウカ…春井龍司…。
悪魔と関わる宿命の私。
「マルコシアスさん…私はどうしたらいいの?」
「私に言えるのは…ジェイさんに魂を…」
「梨緒に死ねと言っているのですか?」
「っ!」
死ぬ…私が…。
あの時、昏睡状態の私を心配してやつれたママの顔を思い出す。
泣き出す由良の顔…。
頭の中が死という言葉でいっぱいになる。
サイファが私を気にして抱きしめてくれる。
「どれだけ私達三人で梨緒さんを守ろうとしても…限界があります。しかもあのルイくんが介入したとなると…」
「梨緒を死なせるなんて出来ません!私が毎日一緒にいて梨緒を守ります。」
「なんの話だ?」
突然ジェイの声がして驚く。
「ジェイっ!!」
サイファの腕を振りほどきジェイの胸に飛び込む。
「梨緒に何を言った?」
ジェイが私の背中を撫でる。
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