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ジェイはリリスの城に訪れていた。
「梨緒が…キョウカの魂を持っているのか知りたい…。」
「…私はそれほどヒマではない。」
ジェイが梨緒のラブラドライトのペンダントを差し出す。
「梨緒が身に付けていたペンダントだ。あんたなら…わかるんだろ?」
リリスが眉を寄せた。
「お主、運命や魂は関係ないと言ったではないか…。」
「…知っておきたいんだ。」
「……貸せ。」
リリスにペンダントを渡すと、硬く目を閉じた。
「……マルコシアスめ、彼奴は全く見る目がないな…。」
ハッと顔を上げリリスの顔を見つめるジェイ。
「じゃあ…キョウカの魂じゃないんだな?」
柔らかく微笑むリリス。
「二人の魂は別にあるようじゃな。また別の者に探させよう。だがジェイよ、油断してはならぬぞ。その人間の女、梨緒はキョウカが守った人間の血を引く者。悪魔と関わるような宿命を持って生まれておる。他にも邪魔が入るやもしれん。早々に魂を奪っておくのだな。」
「魂…」
「どんなにそばにいようとも、魂を自分のモノにせねば意味がないのじゃ。他の悪魔に魂を奪われたら永遠に手に入らぬぞ。」
「梨緒を…死なせるのか…」
「人間の命など儚いものだ。これからの永遠を共にしたいならば、さっさと奪え。」
「……」
リリスの言葉が頭から離れない。
梨緒の命を奪い魂を手に入れる…。
あの生き生きと輝く梨緒の命を奪う?
なぜ?
まだ梨緒は19だ。
これからもっと楽しい事がある筈なのに…それを奪う?
出来ない…そんな事…。
「やぁ、また会ったね。」
木に寄りかかる銀髪の男、ルイだ。
「しけた顔してんねー。やっぱふられた?」
無視して通り過ぎようとするとルイが呟いた。
「俺がその人間の魂、奪ってやろうか?」
振り返りルイを睨む。
「俺は魂を奪うつもりはない。」
「どうして?」
「死ぬまで生きて欲しいからだ。」
「ははっ、老いて死ぬのを待つの?」
ジェイは無言のままルイの襟元を掴んだ。
「君って人間っぽいね。そんなんじゃ他のヤツに奪われちゃうんじゃない?例えば…俺とかに。」
「貴様っ!!」
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