Transfiguration

7/31
前へ
/31ページ
次へ
ジェイはリリスの城に訪れていた。 「梨緒が…キョウカの魂を持っているのか知りたい…。」 「…私はそれほどヒマではない。」 ジェイが梨緒のラブラドライトのペンダントを差し出す。 「梨緒が身に付けていたペンダントだ。あんたなら…わかるんだろ?」 リリスが眉を寄せた。 「お主、運命や魂は関係ないと言ったではないか…。」 「…知っておきたいんだ。」 「……貸せ。」 リリスにペンダントを渡すと、硬く目を閉じた。 「……マルコシアスめ、彼奴は全く見る目がないな…。」 ハッと顔を上げリリスの顔を見つめるジェイ。 「じゃあ…キョウカの魂じゃないんだな?」 柔らかく微笑むリリス。 「二人の魂は別にあるようじゃな。また別の者に探させよう。だがジェイよ、油断してはならぬぞ。その人間の女、梨緒はキョウカが守った人間の血を引く者。悪魔と関わるような宿命を持って生まれておる。他にも邪魔が入るやもしれん。早々に魂を奪っておくのだな。」 「魂…」 「どんなにそばにいようとも、魂を自分のモノにせねば意味がないのじゃ。他の悪魔に魂を奪われたら永遠に手に入らぬぞ。」 「梨緒を…死なせるのか…」 「人間の命など儚いものだ。これからの永遠を共にしたいならば、さっさと奪え。」 「……」 リリスの言葉が頭から離れない。 梨緒の命を奪い魂を手に入れる…。 あの生き生きと輝く梨緒の命を奪う? なぜ? まだ梨緒は19だ。 これからもっと楽しい事がある筈なのに…それを奪う? 出来ない…そんな事…。 「やぁ、また会ったね。」 木に寄りかかる銀髪の男、ルイだ。 「しけた顔してんねー。やっぱふられた?」 無視して通り過ぎようとするとルイが呟いた。 「俺がその人間の魂、奪ってやろうか?」 振り返りルイを睨む。 「俺は魂を奪うつもりはない。」 「どうして?」 「死ぬまで生きて欲しいからだ。」 「ははっ、老いて死ぬのを待つの?」 ジェイは無言のままルイの襟元を掴んだ。 「君って人間っぽいね。そんなんじゃ他のヤツに奪われちゃうんじゃない?例えば…俺とかに。」 「貴様っ!!」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加