その二

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  「おい、ユーク! ユーク・バロチルーはおるか!」  ナルに威嚇されたあの隊長が、慌てた様子で声を上げていた。その声がまだ陽が上らない朝の静寂を乱す。厩でエクルスたちの寝藁を取り換えていたユークはその声に気づき、作業を中断し、身体に付いた藁を叩きながら表に出た。 「おお、やはりここか!」  上官に敬意を払うため、ユークはぴしりと姿勢を整え、右手の指をすべて合わせて彼に手のひらを見せた。ここの敬礼だ。 「うむ、結構」  上官は答礼したが、すぐに慌てて彼の腕を取った。 「そうではない、すぐに来い!」
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