2人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、ユーク! ユーク・バロチルーはおるか!」
ナルに威嚇されたあの隊長が、慌てた様子で声を上げていた。その声がまだ陽が上らない朝の静寂を乱す。厩でエクルスたちの寝藁を取り換えていたユークはその声に気づき、作業を中断し、身体に付いた藁を叩きながら表に出た。
「おお、やはりここか!」
上官に敬意を払うため、ユークはぴしりと姿勢を整え、右手の指をすべて合わせて彼に手のひらを見せた。ここの敬礼だ。
「うむ、結構」
上官は答礼したが、すぐに慌てて彼の腕を取った。
「そうではない、すぐに来い!」
最初のコメントを投稿しよう!