その一

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 その国、エングリスは王を持つから王国であり、そして長い間他国との戦争を繰り広げてきた。  エングリスが特別野蛮な国であるわけではなく、エングリスを含む大州、エルピスすべての国が戦いを暮らしの一つとしていた。そうして様々なことが進んでいった。  けれど長い年月で人が穏やかさを覚えていくと、やがて戦争は落ち着きを見せ始め、少なくなっていった。小競り合いはあるものの、国の存亡をかけたような大規模なものは稀になった。    それはエングリスも例外ではなく、たまに戦争は起こるものの、闘争は血を流すものからそうでないものへとシフトしていった。その華やかな流れを国も奨励し、スポーツや芸術などで他国と競うようになった。  エルピスは現在、比較的穏やかな、赤子があやされているような歴史を刻んでいる。  これはみなさんの世界とよく似た、けれど少し違う世界のお話。
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