その二

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に安心してしまって、ついつい本心を漏らしてしまう。 「いいえ。私は自分に流れる、カラカコスの血にも、エングリスの血にも誇りを持っております」  はっきりとした答えに周りはさらにざわつき、ひそひそ声もかなり大きくなってひそひそとは形容し難くなった。ユークは刺さる視線を受け続けながらも、表情を崩さなかった。内心、またもやとんでもないことを言ってしまったと思っていた。 「姫さま! やはりこのような者を専属騎手にしてはなりませんぞ! あのカラカコスの血を捨てずに持ち続ける者など、姫さまの前にはふさわしくありません」  そう言うと、男は次にユークの方へ向き、睨みつけて唾を飛ばす勢いでまくしたてた。 「おい、貴様! 即刻出ていけ! そして貴様のようなやつなど、除隊処分にしてくれよう! まったくこのようなカラカコスの者を入れて責任者は誰か!?」  アスコルト長の顔に血の気がなくなって真っ白になる。そして息苦しさを解消するために、服の首元を指で広げている。できた隙間から、つばを飲み込む喉の動きが見えた。  ユークは自分の失策を後悔しながらも、妙な爽快感に浸っていた。幼い頃から近所の子供たちにカラカコスの血をばかにされるたび、いつも立ち向かったことを思い出す。  小柄な体格のせいでいつも苦戦していたけれど、繰り返して喧嘩するたびにいつしか勝てるようになった。そういう彼の執念に圧されてしまって、最終的には誰もが彼のことをばかにはしなくなった。
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