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「はっ。一生懸命励みます」
「では早速、私の所有するトゥルグレッドを見てもらう。支度するぞ」
図らずも姫の専属騎手になってしまったユーク。これからのことを考えるともう、気が気でなかった。
近くにいたアスコルト長はとりあえず最悪の状況は回避できたと、額の汗を拭っていた。
姫が支度のためにその場から離れると、残っていた周りの者たちも去っていった。その去り際にやはりユークのことを蔑んだような目をぶつけていく。慣れているとはいえ、彼は辛い思いを感じる。
「では、私もアスコルトに戻る。姫の御前だ、無礼がないようにな」
「はい。ありがとうございます」
アスコルト長はぽんとユークの肩に手を置き、
「私もエクルスレースが好きなのだ。君のライダーとしての活躍に期待している。あと、稼がせてくれよ」
「ははは、努力いたします」
みんなが帰ってしまって、その場にはユーク一人だけになる。きょろきょろと暇つぶしに辺りを伺う。ウィンデイサー城は様式よりも質を重視してあるかのように、あまり派手さはなかった。古くからある城であるから、流行に置いていかれている。
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