その二

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「はっ。一生懸命励みます」 「では早速、私の所有するトゥルグレッドを見てもらう。支度するぞ」  図らずも姫の専属騎手になってしまったユーク。これからのことを考えるともう、気が気でなかった。 近くにいたアスコルト長はとりあえず最悪の状況は回避できたと、額の汗を拭っていた。  姫が支度のためにその場から離れると、残っていた周りの者たちも去っていった。その去り際にやはりユークのことを蔑んだような目をぶつけていく。慣れているとはいえ、彼は辛い思いを感じる。 「では、私もアスコルトに戻る。姫の御前だ、無礼がないようにな」 「はい。ありがとうございます」  アスコルト長はぽんとユークの肩に手を置き、 「私もエクルスレースが好きなのだ。君のライダーとしての活躍に期待している。あと、稼がせてくれよ」 「ははは、努力いたします」  みんなが帰ってしまって、その場にはユーク一人だけになる。きょろきょろと暇つぶしに辺りを伺う。ウィンデイサー城は様式よりも質を重視してあるかのように、あまり派手さはなかった。古くからある城であるから、流行に置いていかれている。
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