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のバンベリーとオアケスもそうでしょうね」
「それを付けなかったんですね。手っ取り早そうなのに」
「姫さま曰く、『確実にヴァークロムが主流になる日が来る』とのことで、最近はヴァークロムか、その産駒でしか付けておられませんね」
侍女はなかなかに詳しい。彼女もまたエクルスレースに魅了された人だった。ユークの知らないことを色々と教えてくれる。
母が同じでなければ兄弟と呼ばれないのが、エクルスのルール。けれど父が同じであるので、アスコルトの丘で競争したナルとアスルコートは異母兄弟であった。お互い気づいていたのかはわからない。
「その通り。必ず父系として主流になり、後世に名を残すのはヴァークロム、そしてアスルコートよ」
声の主はアリル姫だった。あの煌びやかなドレスから、エクルスに乗るための簡素な服装に着替えていた。長い髪も邪魔にならないよう、後ろで一本に束ねてある。また印象の変わる出で立ちだった。
言葉づかいも変われば、声色も年相応の活発そうなものになっていた。
座っていてわからなかったけれど、ユークよりも背は低い。
「姫さま、他の者は?」
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