その二

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が、トゥルグレッドと定義されるの」 「そうなんですね。てっきり、途中でレットグレッドとかを混ぜているのかと思っていました」 「トゥルグレッドは走る芸術。そういう混ぜ物は認められないの。その時点でその仔はトゥルグレッドではなく、レットグレッドの扱いになるわ」  なかなか厳しく品種管理されている。ユークは「へえ」と声を漏らし、「すごいんだね、君は」と声を掛けてアスルコートをまた撫でた。彼は親しい気持ちを込め、鼻をユークにこすりつけた。 「さて、じゃあ次は実際に乗ってみて」 「この仔にですか?」 「ちゃんと別のを用意してあるわ。来て」  厩をあとにし、しばらく歩いて小さな森を抜けると、そこに平原が広がっていた。そこに一頭、エクルスが鞍を付けられ、騎乗できる状態で待っていた。どうやらこの平原を調教場として使っているらしい。 「あの時と同じようにお願いするわ。丘での乗り方、そのままで」
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