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奈央子はその場に固まって動かない。と言うより、動けない。
そんな彼女の様子を見て、咲はフッと口元を緩めた。
そして階段を上り切り、奈央子の元に ゆっくりと歩いて来る。
「お客様、表へ御案内しましょう。ここは倉庫しかない階です。お客様の来るべき場所では ありません-…と言うより、そもそも どうしてこんな所にいらっしゃったのですか?もしや、あの子と抜けがけ、とか?」
咲は最後の部分を、ユーモアを含めた雰囲気で言った。
あの子-…野城のことだ。
「あ、あの」
「はい?」
「あ、貴方は何が目的なんですか……?」
「"目的"?とは?」
きょとんとする咲。
奈央子は唾を飲み込んだ。
いま、聞かなければならないことがある・・・
勇気を出して。
「盗聴器の事です!私に二度も付けようとして……。どうして!?」
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