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奈央子が言い終えたあと、咲は一瞬 目を見開いたが、フッと笑った。 「ははは。あの少年は本当に頭が良いんだなぁ」 その様子に奈央子は、少し安心したのか、次々と言葉が出る。 「貴方は優をゆ、誘拐している犯人の仲間なんでしょ?こんなことしても何にもならないよ!」 「何でアイツはこんな お節介な子が好きなんだろーなァ」 「アイツって、野城くんの事ですか!?」 もう二人の間には、客と乗組員という遠慮じみた空気はなかった。 「『野城くん』も君が好きなんだろうけど、俺が言ってるのは、彼じゃなくて、優だ」 「優は今どうなってるの。お願い、教えて!」 「当り前だけど それは無理なんだよな」 「…………っ」 「取り敢えず君さぁ、観光に行かない訳?」 「行ける訳ないでしょ!優を放っておいて!そうだ、野城くんは本当に警護室に連れて行ったんですよね!?」 「心配?」 咲は、奈央子を見下した様子で言った。 奈央子は口を閉じた。
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