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「の、野城くんをどうしたんですか………」 奈央子の声は震えていた。すると咲はキッと奈央子を睨んだ。 「これはな、高校生の君にはわからない大人の複雑ぅ~な問題が絡んでいるわけ。代表者の一言で億単位の金がポンポン動くような世界での、『大人の揉め事』なわけ。いち高校生の君が探偵ぶって どうこうしようとした所で、解決するような簡単な話でもねぇんだよ!」 咲は声を張り上げた。奈央子の身体がビクッと縮む。 奈央子は一瞬 黙り込んだが「私、行きますので」と小声で言った。その瞳は強い意志の現れだった。 「それはダメだ。君には観光に行ってもらう」 奈央子が非常階段の方向へ後ずさりする中、咲は一歩二歩、奈央子に近寄る。 薄暗い中、緊張した空気が漂う。 「私は今日は、休むんです!」 「船内にいてもらっては困る。外まで案内しよう。怒鳴って悪かったよ。な?」 咲が奈央子の腕を掴もうとした、その時-… カッカッカッ というハイヒールのような靴の足音が聞こえてきた。
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