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咲は咄嗟に右手を引っ込める。奈央子も足音のする方向を振り向いた。 廊下の向こうから、誰か歩いて来るのが見える。 咲と奈央子は、廊下の向こうをじっと見た。 その人物は こちらに向かって歩いているが、こっちは見ておらず、部屋を探すかのように、ドアの方ばかりを見ながら歩いていた。 だが奈央子は、その人の姿がしっかりと見えた瞬間、思わず声を出してしまった。 「あ!!」 その声で、その人は初めて真正面を向いた。 そして、奈央子と咲の姿に気付いた模様。 「……………あなたは・・・」 その人物は そう言って、奈央子を見た。
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