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ーーーー冷たい……
この感覚は何だ……?
血の色……
肉体の温度……
命の重み……
俺の右腕を包むこの感覚は……?
そうか……俺はこの腕で……
人を…………
「………………!!」
隼はゆっくりと、固く閉じられた眼を開ける。
あのヴァリアントとの戦いの後に倒れてから、初めて目を醒ましたのだ。
悪い夢から醒め、やっとその視界は現実を捉えている。
しかしその景色は、隼がまだ自分が夢の中に居るのかと錯覚するほど、非現実的な物だった。
手足は、腕輪とそこから延びるワイヤーに繋がれ、
裸の上半身には無数のコード、下半身にのみウェットスーツのような材質の下着、
口元には酸素マスクが取り付けられている。
そして、隼が居る場所は……
さながら【血の水槽】
3mほどの筒型の水槽に紅い液状の薬品が満タンに入っている。
隼はその中に四肢の自由が利かない状態にされ、放り込まれているのだ。
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