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やがて隼は紅い液体ごと紫の電磁波に包まれ、
【ヴァリアントの肉体】が姿を現す……
電磁波の影響で、スピーカーや水槽外のコンピュータと繋がっている酸素マスク、身体中のコードは機能を失った。
これにより、男からの通信や、隼のリアルタイムの身体状況を把握することは不可能となる。
ヴァリアントと化した隼はワイヤーに繋がれたままの両腕をゆっくりと動かす。
次の瞬間、厚さ15mmの強化ガラスは粉々に砕け、大量の紅い液体が周囲に撒き散らされた。
そしてその液体の上を、強引に引き千切られた硬質ワイヤーを手足にぶら下げながら隼は歩きだす。
今の隼に理性は無い……
以前の戦闘時よりも増した攻撃性と破壊衝動……
男の言う通りコントロールが利かないどころか、隼の人格が完全に消え、
“獰猛な獣”と化してしまっていた。
隼……否、今は敢えてヴァリアントと呼ぼう。
ヴァリアントは前屈みになりながら辺りを警戒し、ゆっくりと首を回して見渡す。
そして何かに気づいた……
前方のロックされている鉄製のドアの赤いランプが青に変わったのだ。
そしてロックが解除されて開いたドアから、逆光を浴びた男の人影が現れる。
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