鎮静の弾

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ブーツの足音を鳴らしながら部屋に入り、 ヴァリアントの眼に男の全体像が写し出される。 黒いコンバットスーツに身を包んだ銀髪の男…… その男は部屋に入って来るや、眼部のバイザーと通信機を起動させる。 通信先は、先ほど隼へスピーカーから連絡を送っていた男と同一だった。 『京介、ヴァリアントの状況はどうだ?』 “京介”と呼ばれたその男は、バイザーに写し出されたヴァリアントのリアルタイムのデータから、状況を割り出す。 「暴走の原因は予測通り、細胞融合の副作用によるストレスの悪化。 まだV細胞と器の細胞が上手く噛み合っていない。 今は、頭の悪い狗同然。 突発的な攻撃力はあるだろうが、元の姿に戻るのは時間の問題だ」 『……なるほどね。 でも、このまま放っておくわけにもいかない。予定通り、ヴァリアントへの攻撃を許可する。ただし“急所は狙うな”』 「……了解」 京介は通信を受け、腰のホルスターにある銃に手をかける。 その瞬間、警戒を続けていたヴァリアントは武器に触れた京介を敵と見なし、一直線に駆け出した。
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