蘇る肉体

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「時間」というものは滞りなく進んでいく。 誰かが引き留めようとしても、止めどなく前へと向かって行ってしまう。 「人類」というものは前進と後退を繰り返している。 それは技術や経済、そして「精神」にも起こり得るものであるーー ーー2020年代前半に科学の異常な発達を遂げた日本は、軍事力が飛躍的に向上。 武力の放棄を解除し、数々の小国を制圧。領地を大幅に広げた。 しかしその軍事大国の日本の首領の座を狙おうと、 〈2029年〉内紛が勃発。 我こそはと新たな組織が台頭したその戦いは「新改戦争」と呼ばれ、 日本中を戦火に包み込むことになった。 その戦争は無限に続くのかと思われたが、 〈2045年〉一派の組織の勝利により、16年に及ぶ戦争は終結した。 東京オリンピック後の束の間の華やかさは影を潜め、一面廃墟と化した大国は、奇しくも過去の大きな崩壊からちょうど100年後に、もう一度0からの再建を余儀無くされることになる。 それから10年。 科学の最上位へと君臨していた国が勢いを取り戻すのには、そう時間はかからなかった。 国民が全力を尽くし、 全盛期には及ばないが、大国と言うに差し支えのない程には復活したのだ。 だが……また着々と、この国を滅ぼさんとする嵐が近づきつつあるのであったーー
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