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ーーーーバイクを押しながら、永く自分が眠っていた場所から出る。
そこは見上げんばかりの摩天楼。
ラウドポリス Ω地区A地点
日本政府本部、別名
『大帝堂』
時刻は16時36分。
人工太陽が作り出す夕焼けの下、隼は気を休めるため静かな地帯である、θ地区に向かったーーーー
ラウドポリス φ地区J地点
暗がりの道。
殆ど車も通らないような場所の砂利の上で傷付いた猫が横たわっている。
恐らく、廃墟となった建物の錆び落ちてきた瓦礫にでも当たったのだろう。
そしてその周りを薄汚れた服を着た少年達が取り囲み、可哀想に、と眺めている。
まだ息はあるため、どうにか助けてくれる人は居ないかと少年達が当りを見回す…………
すると、廃墟が並ぶ通りには似合わない、綺麗なブラックのコートとスーツに身を包んでハットを被った青年がこちらの方向に歩いてくるのが見えたので、
少年達は猫を抱き抱えて急いで青年の元に駆け寄り、どうにか猫を助けてやれないか、と求めた。
青年は快く引き受けた。
そしてもう一度、猫を地面に寝かせるや否や、
その猫を右足で踏み潰したのだ。
泣き出して腰を抜かす少年達に、青年は表情一つ変えずに口を開いた。
「今度同じのを見つけた時はこうしてやるといい。この世の苦しみという“縛り”から解放される……」
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