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そして彼の思う最上級の幸福は、
“生きたまま縛りから解放され自由を得ること”
従って、彼がこの街で最も恨みを持つ対象は、
ラウドポリス、そして日本全土の『縛り(ルール)』を司る『政府』なのであるーーーー
ーーーー「三影くんか。どうぞ、入ってくれ……」
そう言って、三影を小さな一軒家に迎え入れたのは40代半ば程の男性。
しかし、その薄汚れた身なりや身体から実年齢よりいくらか老けて見える。
そして彼も、戦争を経験した敗戦者の一人だった。
三影はその男性に鞄から取り出した缶詰とパン、そして一箱の煙草を手渡した。
「いつも通り、代金は要らない。前に渡したライターのガスは残ってますね?」
男性はそれらを申し訳なさそうに受け取った。
「あ、あぁ……。毎度とても助かっているよ……。
だけど、前に君が言ったような政府への反旗を翻すような気持ちは、やはり起きそうにない……。
こうやって君がこの地区の人たちにわざわざ食料を配って誘っても、もう誰も戦いには戻りたくないんだ……」
「いや、そうやって心に留めて置いてもらうだけで結構。
腹を満たせばまた心持ちも変わるかもしれない」
そう言って三影は早々にその家から出て、次の家に向かった。
「そういうものかね……」
男性は三影を見送ることなく、溜め息をつきながら三影から貰った煙草に火をつけた。
「しかし知らない銘柄だな……。不味くは無いんだが……」
廃れた家で、かろうじて動く時計の針は「20時」ちょうどを指していたーーーー
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