蝕まれた街

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ーーーーφ地区J地点 時刻は21時を過ぎたところだった。 道路にバイクのエンジン音が響き渡る。 この辺りでエンジン音が鳴るとすれば、稀に届く郵便のバイクか、隣街であるθ地区へと向かうバイクが通る時だけ。 そして今回は後者の方だった。 隼は疲れを溜まらせていた。 無理もない。 あれ程のことがあった後の、都会から郊外であるθ地区へ向かう4時間半超の長旅だ。 しかし、その道中であるφ地区で隼のバイクは止まった。 それは隼の疲労のせいでも、エンジンの故障でもなかった。 「こ、これは……! どうして、こんな……」 隼は急いでバイクから降りた。 そう、隼が見たものは道路に平伏していたあの子供の死体。 殆ど外出者の居ないこの地区で第一発見者となったのは隼だった。 「き、救急車を……」 隼はポケットの携帯を取り出そうとする。 「多分、もう手遅れだろう」 その声に反応して隼は振り向く。 「あなたは……?」
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