蘇る肉体

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すると、調査部隊の一員が第2ゲート付近に何かを発見する。 「あ…あれは……?」 『どうした?』 調査部隊が指令部へと映像データを送る。 『これは……人間?なぜこっちに…』 映像に映っているのは隼だった。 第2ゲート入口でバイクを降りたあと、さらにヴァリアントへと近づいていたのだ。 しかし、どこか様子がおかしい。 「どうしたんだ……?」 隼は頭に手を当てながら道路に踞ってしまい、苦しげに何かを呟いている。 「父……さん…助けて………母さん…」 調査部隊は隼の小さく呟く声を無線マイクで拾う。 「父さん、母さん?これは一体……」 『とにかく、あの少年を救助するんだ!』 指令を受け、ヘリと同時に三人の防護服を着た隊員が着陸する。 「キミ!大丈夫か!」 隊員が隼に駆け寄ろうとした時、 隼の体を、ヴァリアントの出すエネルギーと同じ紫色の稲妻が纏い始めた。 隼は痛みに苦しむような叫び声を上げている。 さらに額に小さな黄色い宝珠のような物が現れる。 隊員たちも、強力な電磁波を纏う隼から距離を取らざるを得なくなる。 そして髪は銀になり、額の宝珠から徐々に深緑の色素が広がって、やがて隼の全身を包み込む。 「こ、これは……!」 電磁波を帯びて体色を変えた隼は、さっきまで踞っていたのが嘘のように立ち上がり、眼を開く。 隼自身の人格は薄れ、寡黙な雰囲気を出している。 紅い眼、銀の髪、緑の身体。 その姿は…… 「こ、こいつ!ヴァリアントか……!」 民間人のヴァリアントへの変身を目の当たりにした隊員たちは一瞬ライフルを構えるが、ヴァリアントには通常の兵器が効かない事を思い出す。 「くっ……」 少しずつ近づいてくるヴァリアントと化した隼に、為す術無く喰われると悟る隊員たち…… しかし、意外にも隼は隊員たちに目もくれず通りすぎる。 そして邪魔だと言わんばかりに作業着を脱ぎ捨てて、隼が睨み付けたのは、 「人を襲うヴァリアント」だ。
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