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それからジェイは私達が出会った時の話や、自分が堕天使だと気づいてからの修行の話、再会して私をサイファから奪った話など、私の知らないジェイの話を聞かせてくれた。
記憶を戻すのは簡単らしいけど、ジェイが自分の感情を交えて話してくれたから、とても愛されていたんだと気づく。
それは少しくすぐったくて、恥ずかしいような気持ちになる。
私達がどれだけ相手を想い、愛し愛されていたのかを感じる。
サイファに消されてしまった私の記憶は無いままだけど、それでもまたジェイに恋をした。
今、ジェイが好きだという感情だけでも幸せだった。
ジェイの腕に包まれたまま、幸せな気持ちで眠りについた。
朝、目を覚ますとジェイの腕の中に包まれていた。
夢かと思った。
ジェイの腕の中からジェイの顔を覗き込むと、ジェイと目が合う。
「ジェイ起きてたの?」
「梨緒の顔見てた。」
恥ずかしくなりジェイの胸に顔を埋める。
ジェイの手が私の頬を包み、優しく口づけられる。
唇がゆっくり離れるとジェイは私の耳に囁く。
「やっと俺の梨緒を取り返せた。」
くすぐったくて耳を手で押さえると、その上にジェイの手が重なる。
「そう思っていいんだよな?梨緒。」
心配そうに顔を覗き込むジェイ。
ジェイの綺麗な瞳を見つめながら呟いた。
「はい…。」
ジェイが片側の口角を上げて微笑む。
そのままぎゅっと抱きしめられ、幸せを身体中で感じる。
「もう起きなきゃ…」
「もう少しだけ…」
ジェイの唇が顔中に降り注ぎ、最後に唇にチュッと音を立てて口づける。
なんて…幸せなんだろう。
好きな人の腕の中で目覚めて、沢山の口づけが貰えるなんて…幸せ過ぎて怖い。
ジェイがゆっくり腕を広げて私を解放する。
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