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幸せのベッドから伸びをしながら降りるとクラリとよろめき、床に手をついてしまう。
わ、なんだか頭がクラクラするような気がする。
なんだろこれ…、貧血?
「大丈夫か梨緒?」
平気な顔をして振り返って微笑む。
「っ!梨緒…血が…」
「えっ?」
そういえば鼻から水滴が落ちるような…鼻を擦ると手の甲に真っ赤な血がついた。
「梨緒、上向け。」
ジェイが私を抱き上げティッシュで鼻血を拭う。
「い、いいよ。鼻血くらい私が…」
強烈な頭痛が襲う。
目が回る…。
なんだこれ…。
喋ってるのに自分の声が聞こえない…。
目が霞む…。
怖い…!
「梨緒っ、おいっ!梨緒!!」
梨緒の様子がおかしい…、ジェイは梨緒をベッドに横たえる。
「梨緒…しっかりしろ!!」
梨緒が天井を見つめたまま何かを呟いている。
ジェイが必死に梨緒に呼びかけても梨緒は朦朧としていて意識が飛んでいるような状態になった。
ジェイが梨緒に治癒の呪文を呟いても梨緒に変化はない。
「梨緒っ!!」
そのまま目を閉じた梨緒。
ふと誰かの気配に顔を上げると梨緒のベッドのそばに黒い布を纏った何者かが降り立つ。
「誰だ貴様!梨緒から離れろ!!」
明らかに人間ではない、異様な殺気を纏った魔の者はフードを深く被って半分顔がかくれているが、口元だけがニヤリと笑う。
「この娘はもうすぐ死ぬ…。魂の予約をしとこうと思ってね。」
「なに?」
「堕天使アザゼルか…、契約もせずに放っておくお前が悪い。」
喉の奥で笑うような音をさせ握った漆黒の鎌が怪しく光る。
「貴様…死神か!」
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