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「ふふっ。もしかして妻にしたい女なのか?ならば何故このままにしていた?契約もせず、愛を囁き合っていただけか?」
「貴様には関係ない!」
死神がニヤリと笑う。
「契約もしていないお前がこの魂を手に入れる権利はない。誰も教えてくれなかったのか?」
死神が笑い出す。
フードをよけ顔を見せた死神は、右目が青色で左目が緑色の瞳を輝かせると言った。
「この魂…譲って欲しければ、その指輪をよこせ。」
死神が指差したのは、ジェイのラブラドライトの指輪だ。
「そこにはまだ二年分のエネルギーが残っているようだからな…。」
「こんな物でいいのか?それで梨緒は助かるのか?」
「バカかアザゼル…。この娘の死は確定だ。俺が譲るのはこの娘の魂よ。」
「助からない?原因はなんだ!?」
「…随分この娘の脳を弄ったな。見ろ、また鼻血が出ている。脳から出血している。もう…助からない。」
「梨緒…まさか…」
ジェイはティッシュで梨緒の鼻血を拭う。
「堕天使アザゼル、その指輪をよこせ。この娘の魂が手に入ればお前も指輪が無くても暫くは生きられるだろ?」
ジェイは指輪を指から抜き取ると死神に放り投げた。
「ふふっ、この娘が死ぬのは三日後。そばを離れたら誰かに奪われちまうから、離れない事を勧めるが…この指輪無しでアンタ、三日保つかね…。少しでも魂集めといた方がいいと思うけど。」
死神は大きな鎌を携え姿を消した。
「梨緒…!どうしたら…」
ジェイが梨緒の携帯電話から救急車を呼ぶ。
「とにかく病院だ!梨緒…梨緒…」
暫くすると救急車が着き、梨緒の部屋に救急隊が入って来た。
担架に乗せられた梨緒は意識を失っていた。
「俺はどうしたら…」
人間の目には姿が見えないように装い梨緒の病院に付き添う。
『マルコシアス…来てくれ!梨緒が!!』
暫くしてマルコシアスが血相を変えて現れた。
「ジェイさん…梨緒さんは病気ですか?」
「ああ。脳出血らしい…。死神の話では、あと三日だと…。俺はどうしたらいい?」
「梨緒さんの意識を探しましょう!!」
マルコシアスがオペ室の扉をすり抜ける。
続いてジェイもオペ室に入る。
梨緒の身体から青く長い糸が天井に伸びている。
それを追うようにマルコシアスとジェイが飛び立つ。
梨緒の意識は病院を突き抜け自分の部屋に帰っていた。
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