28人が本棚に入れています
本棚に追加
マルコシアスが梨緒の意識の糸を手繰り寄せると、突然梨緒の部屋が異空間へと変わった。
「梨緒さん。私がわかりますか?」
真っ白な空間に長い黒髪の梨緒が座っている。
「…マルコシアスさん…」
梨緒はきょとんとして辺りを見回す。
「梨緒っ!」
ジェイが梨緒の手を握る。
「ジェイ…私…死んだの?」
ジェイは首を振った。
「梨緒…お願いだ、俺に…梨緒の魂をくれ!!」
「どういう意味?」
マルコシアスが口を挟む。
「梨緒さん、貴女はあと三日で命をおとします。その前にジェイさんに魂を渡す約束をして下さい。」
「…どうして?」
「梨緒と俺が永遠に一緒にいる為だ!まだ…お前を…振り向かせたばかりなのに…勝手な事言ってるのはわかってる。だけど、もう二度とお前を失いたくないんだ!!」
梨緒はジェイの手を振り払い自分の掌をジッと見つめた。
「…私…死ぬんだ…」
「梨緒…頼む!お前を誰にも渡したくないんだ。」
「どうして私は死ぬの?まだ…19なのに…なんとかしてよ!私まだ死にたくないっ!!」
広げた掌で顔を覆い泣き出す梨緒。
泣き出した梨緒にどうしていいかわからず、梨緒の身体を引き寄せ抱きしめることしか出来なかった。
「梨緒さん…私達は貴女の命を助ける事は出来ません…。ですが、魂をジェイさんに渡すと約束をすれば、永遠に生きる事ができるのです。」
「永遠なんて要らない!私はあの場所で、みんなと普通に生きたい!」
動揺しきってる梨緒に何を言っても無駄だとマルコシアスが首を振る。
「梨緒…俺じゃダメか?人間としての命が終わっても、俺が必ずお前を幸せにする。お前の望みは全て叶えてやる。だから…俺に…」
「一人にして…」
「出来ない。今お前を一人にしたら、他の悪魔にお前の魂を奪われる…。」
ジェイはきつく梨緒を抱きしめる。
最初のコメントを投稿しよう!