many times over

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ジェイと一緒に自分が眠る病室に降り立つ。 なんだかこの風景…前にも味わった事がある。 病室に駆け込むママと大川さん。 泣き崩れるママを大川さんがしっかりと抱きとめてくれている。 「誰が救急車を呼んでくれたんですか?その人はどこに?」 ジェイの顔を覗き込む。 「ジェイが呼んでくれたの?」 「ああ、それしか思いつかなくて…あのままじゃ、誰にも発見されないかもしれないだろ?」 少し怖くなった。 ジェイがそばにいてくれたから…死ぬ前にママは私の顔が見れたんだ。 「ありがとう、ジェイ。」 大きな掌で私の頭を撫でてくれるジェイ。 ママは大川さんに帰るように言っているけど、大川さんはママの肩を抱き首をふる。 大川さんがいい人で良かった。 私が死んでも、大川さんがきっとママを大事にしてくれる。 「ジェイ、由良に会いに行きたい。」 「わかった。」 ジェイは私を後ろから抱くと、一瞬のうちに由良の部屋の中にいた。 由良は何やら携帯で誰かと盛り上がっている。 相手は小松くんみたい。 私が入院した事はまだ知らない。 前から気になっていたけど、由良は小松くんと付き合ってるんじゃないかって感じがする。 「じゃあ、明日は絶対だからね!!ドタキャンは絶対許さないから、わかった?」 わー、上からだなー。 思わず笑ってしまう。 由良は電話を切ると今度はメールを打ち出した。 私に? メールを打ち終わるとベッドにどさりと横になり、暫くすると寝息を立ててぐっすりと眠ってしまった。 ジェイの顔を見上げると、ジェイは由良のおでこにそっと触れる。 そして私に手を差し出す。 ジェイの手を握ると、由良の部屋の中が大学の講堂の中に変わった。 「彼女の夢の中だ。伝えたい事、伝えるといい。」 由良の肩をトントンと叩く。 由良は満面の笑みで振り返る。 「梨緒、私…言って無い事があってさー。」 「なあに?」 「実はさー、梨緒がバイトで忙しい間に…彼氏出来ちゃった!!」 「嘘ーっ、誰?」 由良は私の後ろを指差す。 振り返るとそこには…!!
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