12/15
前へ
/23ページ
次へ
  それに1回だけ遊園地に連れていってくれたことがあったな。 どうしても行きたいんだと一生のお願いをして、なんとか連れていってもらった生まれて初めての遊園地は、最高に楽しかった。 嫌がっていたアイツも、最後は笑ってくれていて、それが何より嬉しかった。 初めて見たアイツの笑顔はとても眩しくて、その思い出は俺の宝物だ。 高い場所から見える変わっていく空。 ゆっくりと、だけど確実に変わっていく空に、何故か涙が零れる。 頬を伝う涙に恐る恐る指で触れた。 涙は温くて、それは自分が生きているからだと気付く。 まさかまだ自分が涙を流せるなんて思ってもみなかった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加