名前も知らないアイツ

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  仕事がオフの日、久々に親友の家に呼び出され、酒を昼間から飲んでいた。 夕方になりそろそろ帰ろうかと立ち上がると、酔った親友に『もし俺が女だったら、絶対お前に惚れてた』なんて言われて。 目の前に奥さんがいなきゃ、絶対襲っていただろう。 その返事はしないまま家を後にし、抱きたいと暴れまくる心を抑えるために静かな公園へと足を踏み入れた。 それが、アイツとの出会い。 ベンチの背凭れに身を預けている人物を見たとき、目を奪われた。 とにかく現実味がなくて、儚くて、 絵画の中から抜け出した天使としか言いようがなかった。
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